herb

またたび

学名
Actinidia polygama (Sieb. et Zucc.) Planch. ex Maxim.
科名
マタタビ科
別名
夏梅(ナツウメ)、和多々比(ワタタヒ)、和太太備(ワタタビ)
昔から使われてきた利用効果
  • 健胃・消化促進
  • 鎮痛
  • 滋養強壮

4月中旬の若葉

4月中旬の若葉

枝は蔓状で開花時期になると枝先の葉の表が白くなる

枝は蔓状で開花時期になると枝先の葉の表が白くなる

5月下旬には花のつぼみが現れる

5月下旬には花のつぼみが現れる

6月中旬に白く芳香のある5弁の花をつける

6月中旬に白く芳香のある5弁の花をつける

左は通常の果実で右は虫コブができた果実(右の方が薬効が高いとされている)

左は通常の果実で右は虫コブができた果実(右の方が薬効が高いとされている)

マタタビアブラムシが産卵して虫コブができた果実は虫癭果(ちゅうえいか)と呼ばれる

マタタビアブラムシが産卵して虫コブができた果実は虫癭果(ちゅうえいか)と呼ばれる

阿蘇薬草園では虫コブができた果実を使用する

阿蘇薬草園では虫コブができた果実を使用する

民間薬草研究家 井澤嵯壽のひと言

猫の大好物として知られていますが、人との関わりは古く、平安時代の書物にも登場し、鎮痛・滋養強壮の妙薬として利用されてきました。生で齧るとピリッとした味わいがあり薬味として食すのも面白いです。 アルコールに浸し、薬草酒として飲んだり湿布として痛みの気になるところに塗るなどして利用される方も多いです。

利用情報

採取時期 9〜10月
利用部位 茎・葉・花・実(虫癭果)
利用方法
  • 飲用
    マタタビアブラムシが産卵し異常発育した実(虫癭果と呼ばれるデコボコした形状)を採取し、熱湯に浸け中の幼虫を殺した後、天日干しにします。完全に乾燥したら、焙煎(フライパンなどで煎る)し、薬缶で煎じるか急須に淹れて、お茶として飲みます。健胃・鎮静作用に優れているといわれ、慢性的な身体の痛み緩和、滋養強壮、疲労回復に使われてきました。
  • 食用
    新芽をすり鉢ですり潰し、わさびの替わりに刺身につけて食べます。少し硬くなった芽は天ぷらにすると美味しくいただけます。
  • 浴用
    乾燥した茎・葉・実(虫癭果)をよもぎと一緒に煎じます。約1Lの煎じ液をお風呂に入れます。神経痛・肩こり・関節の痛みの緩和に使われてきました。お茶と兼用することをおすすめします。
  • 塗用
    乾燥した実(虫癭果)を、よもぎ・びわの葉と一緒に焼酎で煎じます。煎じ液を痛みのある部分に塗ります。神経痛・肩こり・関節の痛みの緩和に使われてきました。
  • 洗用
    塗用と同じ液を、脱脂綿や清潔な布につけ、痛みのある部分や傷などを、洗うように拭きます。
相性のよい薬草
  • よもぎ+とうころこしのひげ
    心臓が悪いときは、またたびの実(虫癭果と呼ばれるデコボコした形状)・よもぎ・とうもろこしのひげの乾燥したものを一緒に煎じて飲むと軽くなるといわれています。1.8Lの水に各1つかみづつ入れ、3分の1になるまで煎じて、そのまま、薄めて、お茶がわりになど、好みに合わせて飲んでよいとされています(熊本県阿蘇郡小国町)。
  • よもぎ+びわの葉
    神経痛・リウマチ・肩こり・腰痛などで体が痛むときは、またたびの実(虫癭果と呼ばれるデコボコした形状)・よもぎ・びわの葉の乾燥したものを一緒に煎じて飲むと痛みが軽くなるといわれています。また、これらを焼酎に漬込んでできた液体を湿布にしたり、塗布することで痛みを和らげていたそうです(宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町、熊本県阿蘇郡南阿蘇村)。
  • ※ 本サイトの情報は、阿蘇薬草園創業者の幼少時代からの経験や、熊本を中心に語り継がれてきた民間薬草の使い方を収集し、実践した内容をもとに、現代に合わせてわかりやすく編集したものを掲載しています。
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基本情報

生態的特徴 落葉蔓性木本で、効果に個体差はあるものの、ネコ科の動物はマタタビ特有のにおいを好む。
  • 国内分布:
    北海道、本州、四国、九州
  • 生育場所:
    山地
  • 開花時期:
    6〜7月
形態的特徴 葉は蔓状の枝に互生し葉柄があり、形は楕円形。夏には葉面の半分が白変する。初夏、2cmほどの白色5弁の花を開き、液果を黄熟する。果実は楕円形で長さが約2〜3cm、秋には黄色に熟し特有の香りと辛味がある。マタタビアブラムシが子房に産卵したため異常に繁殖して虫瘤状の果実になる場合がある。
生薬名 木天蓼(モクテンリョウ)
生薬成分 アクチニジン、ポリガモール、マタタビ酸、マタタビラクトンなど
用途 利尿、鎮痛、からだを温めて血行をよくする、強心、冷え性、神経痛、リュウマチ
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