4/30 木曜日
阿蘇の言い伝えに、「4月のサド倒し」というのがあります。
「サド」は「サトガラ」をご存知の方は、おわかりかもしれませんが、
植物の名前は「イタドリ」、別名「すかんぽ」という呼ぶ地域もあるそうです。
「すかんぽ」は、「イタドリ」が春先にぐんぐん成長し始めた時の、みずみずしい状態、おいしい状態の頃の呼び名です。
イタドリは茎の中が空洞になっていて、
手でぽきっと折ると、「すかんぽ」というような音がなるのです。
アスパラのような状態がおいしいのですが、自然の中は環境が複雑で、畑のようにそろって生えてきません。
採集して、そのまま皮をむいてかじることもできますし、美味しいおひたしにもできますね。
また、この「美味しいおひたし」は、単純な作り方なだけに美味しく作ることが難しいそうで、
「すかんぽ」も、年によって状態が変わりますし、
火加減も、温度や湿度といった気候が変わりやすい季節の中では、レシピ通りにはいかないようです。
阿蘇では、4月に日中暖かい日が続いても、時折霜が降りるほど朝冷えることがあり、
それが「イタドリ」「すかんぽ」がちょうど美味しい状態に伸びてきた頃に、寒さで倒れてしまう現象を伝えている言葉です。
今年は、たびたび寒気が訪れていますので、
例年より春が長く感じませんか?
花の美しいころが長く、
三寒四温がつむぐ、芽吹きの葉たちも色とりどりで、とても美しく感じております。
ここ数年は、温暖化によるのか、春といっても、
急に暑くなったり、雨が多くなったりと、激しい気象変化に振り回されていたように思います。
それに比べたら、今年はずいぶんと気持ちがいい春になっております。
どんな状態にあっても、朝目覚めて、
「今日はちょっと冷えますね…」と感じるように
日々の暮らしの中で、
私たち人間も自然の一部として、
その自然の移り変わりを感じることができます。
今、この時を、共に過ごしている
それだけでも、ありがたいように感じるのは、
今だからこそではないでしょうか。