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  • 薬草情報, 阿蘇薬草園日誌

よもぎよもやま話

「よもぎ」は、阿蘇薬草園オリジナルブレンド茶に使う中でもベースとなる、とても重要な薬草です。

阿蘇薬草園ではよもぎの栽培に力を入れていますが、一緒に応援してくださる方々のエピソードを

今回お話ししたいと思います。

 

.昔から愛されてきた、万能薬よもぎ

昔からよもぎは「万能薬」として、身近な薬草の中で最も親しまれてきました。

そして、よもぎを主に他の薬草と混ぜ合わせて「お茶にして飲む」といった使い方をすることが多かったようです。

これらが家庭において「家伝秘伝」として言い伝えられてきました。

「こんな時にはこの薬草を飲むとよかよ~」などの会話が、おばあちゃん達の中で日常的に飛び交っていたと

民間薬草研究家の井澤嵯壽は言います。いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」ですね。

それらの知恵をもとに、阿蘇薬草園は日々研究開発を重ね、商品づくりに励んでいます。

 

  • 血の巡りをよくする、お風呂や座浴(よもぎ蒸し)に使用

よもぎの効能効果は色々ありますが、特に浄血作用や血の巡りをよくすることから、女性の「血の道症」に使われてきたようです。

また、よもぎを軒先に吊るすことで、「魔除け」としても使われてきたようです。

5月5日の端午の節句に、お風呂にショウブを入れる菖蒲湯という風習がありますが、よもぎも一緒に入れるのは有名です。

浴槽に入れるだけではなく、座浴(今で言う「よもぎ蒸し」)など様々な場面で活用されています。

 

. 美と健康におすすめ! 「よもぎ料理」

  • 簡単よもぎ料理

「よもぎ」と言えば、お餅に練り込む「よもぎ餅」くらいしか召し上がったことがない方も多いのでは?

震災前の南阿蘇にいたころ、阿蘇薬草園では料理教室をよく開催していました。

よもぎを使った だご汁・パスタ・ピザ・カレーなど様々な料理に活用できます。

移設した新たな場所で料理教室などを開催するための準備を現在行っていますので、お楽しみに。

(写真)よもぎを使った料理

 

  • パウダーだから使いやすい

実は阿蘇薬草園には旬のよもぎを粉砕する技術があるのです。よもぎの旬は、新芽が出て来る4月~5月ですが、

この時期に摘んで、冷凍や乾燥など保存しておくと、一年中使えます。

クッキーやパンなどのお菓子作りや、天ぷら粉に混ぜるには、よもぎパウダーを応用すると便利です。

  • お子様にも人気の「よもぎミルクラテ」

また、毎日のドリンクによもぎパウダーを追加するだけの簡単な方法もおすすめです。

特に、牛乳に混ぜるだけの「よもぎミルクラテ」は、お子様も喜んで飲んでくれます。

お好みで、ハチミルやきび砂糖を混ぜるのもいいですね。見た目は抹茶ミルクラテのような、ほんのり緑色です。

よもぎパウダーで、料理の幅を広げてみませんか?

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3.“春一番のよもぎ”へのこだわり

農作物は何でも旬という、食べるのに最適な時期があるのは、ご存じですよね。よもぎも同じです。

よもぎという植物自体は一年中見かけますが、阿蘇薬草園が採取するのは、“春一番のよもぎ”のみ。

植物が一斉に芽吹く春は、最も生命力にあふれ、薬草の効能も高いとされています。また香りも良く、葉や茎も瑞々しくきれいです。

(写真:旬のよもぎ)

しかし摘むのにベストな時期は、1週間から10日くらいしかありません。もし収穫のタイミングをはずしてしまうと、

よもぎの新芽を好む小さな虫が付くことがあります。よもぎを湧水で洗う際、この虫を取り払うのが、ひと苦労なのです。

また時期が遅れると、葉の色が変わることもあるので、それを選別するのに、非常に手間と時間がかかります。

逆に時期が早過ぎても、お茶にした時、よもぎ本来の香りが出ません。

絶妙なタイミングは、ベテランの薬草摘みの職人たちの経験にはいつも驚かされます。

 

4.薬草摘みの職人たち

  • 収穫に最適のタイミング

よもぎの収穫時期は畑によって異なります。いえ、同じ畑でも、「この一角は、今摘まないといけない!」という、

逃してはいけないチャンスがあるのです。それを感じてくださるのが、薬草摘みの職人さんたちです。

(写真:ベテランの薬草摘み職人さんたち)

 

農家のお母さんなど4~5名の方に、一気に摘んでいただきます。職人さんの一人(久保田さん)を取材させていただきました。

「何十年もキャベツや白菜を育ててきたから、最適な時期がわかるノウハウが、体に染みついているんですよ(笑)。

より良いものを収穫しようとして、薬草摘みの仲間と『今よ!』『まだ!』と、ケンカになることもあるくらいです。

近所だし、気心が知れた友達だから、本気で意見を言い合うことができるんですけどね。この仲間たちと一緒だから、働いていて楽しいですね」。

 

実は、この職人さんたちに初めて薬草摘みをお願いした時に、驚いたことがあります。

摘んだよもぎをコンテナに立ててくださるのですが、その長さが、どのよもぎも、ほぼ同じなんです。

パッパッと鎌で刈り取るのに、計ったように同じ長さ。1本ずつ、一番おいしい部分だけを切り取ると、同じ長さになるそうです。

長年培ったカンに驚かされますね。

 

  • 経験を活かして楽しく働く

薬草摘みの職人さんは、「お客様に、一番おいしくて、一番体に良い状態のよもぎ茶をお届けするためには、育てる段階から、段取りが大切です。

手を抜いて、雑な仕事はしたくない。お客様にも、阿蘇薬草園さんにも、喜んでいただけるような仕事がしたいですね」と言ってくださいます。

もうお孫さんや、ひ孫さんもいるような年齢の方もいらっしゃいます。年齢を重ねても、技術や経験を活かして、

おこづかいを稼ぐチャンスがあるのは嬉しいことだと思います。短期集中型のアルバイトなのですが、逆に「もう一年中農業をする体力はないから、ちょうどいい」と喜んでいただいています。

こういう方々のおかげで、旬のよもぎをお届けすることができるのです。

 

6.よもぎ畑はなぜ阿蘇波野に?

  • 冷涼な気候の高原

旧波野村は、2005年に阿蘇町・一の宮町と合併して阿蘇市になりました。阿蘇は世界最大級のカルデラ

(火山によってできた窪地)で有名で、カルデラ内には平野が広がります。

波野地区は阿蘇カルデラを囲む外輪山に位置するため、JR波野駅は標高754mと九州で最も高い駅として知られます。

夏でも気温が低いため農作物に虫がつきにくく、高原野菜も栽培されています。

そして波野地区は、もともと薬草が豊富に自生している場所でもあります。

 

  • 農地の復興に向けて

阿蘇薬草園は、平成元年、南阿蘇村に開園しました。当時より農薬・化学肥料を使用せず、草は刈り倒し堆肥にする

「3NO主義自然農法」を実践してきました。そんな中、2016年4月に熊本地震が起きました。

当時、南阿蘇村にあった阿蘇薬草園の薬草畑や工場、ショップなどが崩れてしまいました。

「畑を移さないといけない。どこか良い場所はないだろうか」と探していたところ、地震の翌年初め、

阿蘇薬草園の井澤会長が波野在住の、久保田さんと出会いました。「波野に畑がありますよ!」

“薬草” というキーワードでつながった二人でした。

(写真 インタビュー:久保田さん親子)

 

  • 旧波野村とは?

天孫降臨の地・宮崎県高千穂に隣接する阿蘇地域には、日本神話の「天岩戸」伝説を題材にした神楽があちこちで

伝承されており、波野の中江地区にも、明和の時代(18世紀)に始まった中江岩戸神楽が受け継がれています。

神楽の舞い手である久保田さんは、地元に仲間がたくさんおられます。そのネットワークを通じて、

薬草摘みをしてくださる農家の方がたを紹介してくださいました。

(写真:中江岩戸神楽)

▲200年以上の歴史を持つ中江岩戸神楽

https://www.facebook.com/nakaekagura

久保田さんの思いと、阿蘇薬草園の思いが一つとなり「薬草の里構想」として、波野で再出発することができました。

波野が「薬草の里」と呼ばれるほど、薬草畑が広がる日をめざしております。

 

5.地域でwin-winの関係に

  • 「やまなみ会」さんと提携

よもぎを育てていくため、農家のお母さんのサポート役として、阿蘇産山村の社会福祉法人「やまなみ会」にも協力していただいています。

障がい者の方に植え付けなどの農作業をお願いしているのです。

お世話してくださる職員の方に「よもぎの植え付け仕事で良かった点は?」とお尋ねすると、「3つあります」と言われました。

まず第一に、仕事が増えて入所者さんの収入がアップすること。

次に、畑で行う作業が喜ばれたこと。いつも工場の作業場で、プラスチックを同じ長さにカットするなどの作業をされていると

室内ばかりで気が滅入ることもあるそうです。

ところが青空のもと、心地よい風が吹く中での畑仕事は、とても爽快だったそうです。

3つ目は、作業のバリエーションが豊富で飽きないこと。農業には、収穫までの長い道のりの中で様々な作業が発生します。

秋に植え付けをして、冬の寒さに弱るよもぎを見ると心配しますが、春に青々と元気に育つ姿を見ると、「おおー、来たーっ!」

と感動されます。

これはプラスチックや金属相手の作業では、感じられない醍醐味ですね。

(写真インタビュー:やまなみ会 櫻井さん)

(やまなみ会さんホームページ)

https://yamanamikai.recruit-site.net/index.php

 

  • 雇用を創出し、地域に貢献したい

スギナやドクダミ畑での草取りなど単純作業もたくさん発生し、時期ごとに必要な人材は異なります。

短期間のために人数を確保するのは大変でしたが、やまなみ会さんのおかげで解消しました。

より良い品質の薬草を安定的に生産するためには、きちんとした管理のもとで栽培することが必要です。

自然界に生えているものを採取してまわるだけでは、どうしても収量が足りません。また、取りつくしてしまうと

自然界を乱すことにも繋がりかねません。そこで課題は、できる限り自然に近い状態で薬草が育つ環境を手助けすることです。

今後は、一つの農業として確立できる体制づくりが必要であると感じます。

地域に雇用を生み出すことができれば、若い世代の就農も増えるかもしれません。

阿蘇薬草園では、農業という第一次産業だけではなく、加工という第二次、販売という第三次いわゆる六次化産業を行っています。

その強みを活かして、阿蘇を活性化する新たな試みを始めています。

 

 

 

 

 

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