薬草

herb

薬草の利用方法

薬草の一般的な使い方には、生または乾燥したものを利用することが多いようですが、阿蘇薬草園では乾燥したものをさらに「焙煎する」という独自の工程を加えることで、薬草で敬遠される独特の風味や扱いの難しさをクリアしました。この方法は、昔のお狩場(狩猟する場所)で先人たちが熱っした石の上で薬草を焼いて食していたことや、熊本で昔から飲まれている釜炒り茶の直火製法をヒントに、井澤敏が考案した方法です。ここでは、薬草を利用するための処理方法と、阿蘇薬草園が推奨している「飲(いん)・食(しょく)・浴(よく)・塗(と)・洗(せん)」の5つの利用方法をご紹介します。

処理方法

  • 乾燥させる

    乾燥させる
    採取した薬草を水できれいに洗い、包丁やハサミで細かく刻み、茎・葉・花は陰干し、根・樹皮・実は天日干しにします。ザルに広げたり、平干し網に入れて吊るすなど、風通しのよい場所で乾燥させてください。乾燥した状態のものを利用する場合は、完全に水気がなくなるまで干す必要があります。焙煎する場合は、ある程度乾燥したもので大丈夫です。
  • 焙煎する

    焙煎する
    ①をフライパンなどで煎ります。熱を加えることで殺菌効果が期待でき、乾燥だけのものより衛生的で長期保存が可能です。また、味も格段に良くなり、少量でも抽出が容易で、急須などで簡単に素早く飲めるため、無理なく続けることができ、継続的な摂取で効果を高めることにもつながります。
  • 煎液を作る

    煎液を作る
    1升(1.8L)の水に対して①または②の薬草を、濃いめであれば「ひとつかみ」、普通であれば「ひとにぎり」入れます。自分の手で量った分量が適正量です(※)。緊急時などで生のものを使う場合は、前述の分量の約10倍の薬草を入れます。沸騰後に30分以上お好みの濃さまで煎じます。用途によっては、冷してから利用してください。
    煎じる容器は、土瓶などの焼き物、ホーロー(琺瑯)、耐熱ガラス、ステンレスなどを使用します。鉄・銅製の容器は避けてください。
  • 焼酎に漬込む・焼酎で炊く

    焼酎に漬込む・焼酎で炊く
    焼酎に対して半分~3分の1の①または②の薬草を漬込みます。生のものを使う場合は、半分~4分の3の薬草を漬込みます。漬込んで約3ヶ月以降から利用できます。早く使いたい場合は、前述と同じ分量を火にかけ、沸騰したら止め、冷してから使います。
    保存容器は、長期保存に適した密閉性が高く、中身を確認できるガラス製の容器をおすすめします。直射日光を避け、冷暗所で保存してください。

※ 民間療法でよく目にする「ひとつかみ・ひとにぎり・ひとつまみ」の計量表現ですが、医療薬や漢方薬のような厳密に決められた使用分量に慣れてしまった現代の方は、不安に思ったり、不思議だと感じるかもしれません。しかし、人の身体は誰1人として同じではありませんので、自分の環境や身体・体質・体調を見極め、自分に合った方法を見つけることが大切です。

「飲・食・浴・塗・洗」の
5つの利用方法

  • 飲用
    飲用
    基本は処理方法②(焙煎)を煎じるか急須に淹れてお茶がわりに飲んでください。成人の方は、処理方法④(焼酎漬)を好みの濃さで割ったり、お酒を処理方法③(煎液)で割って飲むことも健康法の1つです(飲み過ぎにはご注意ください)。薬草は採取時期によってアクが強くなり、生や乾燥したものは飲みにくさを感じることがあります。即効性が期待できるものも中にはありますが、あくまで民間療法として、安全で気長に毎日続けることが重要です。
  • 食用
    食用
    旬の時期に採取し、根・茎・葉・花などを食します。柔らかい新芽の時期が一番食べ頃です。生より調理をした方が食べやすくなるものが多いようです。基本的な下ごしらえは、採取したものはよく水洗いし、多めに塩を入れた水を沸かし、沸騰したら薬草を茹でます。頃合いを見てお湯から上げ冷水に浸した後、水気をしっかり切ります。細かく刻んで、煮物・ハンバーグ・餃子など和洋中問わず色々な料理の具材に利用できます。阿蘇薬草園では、薄口醤油・味醂などで味付けて、ご飯に混ぜて菜飯にしたり、だご汁などに入れた料理が名物です。旬の薬草採取が難しい場合は、処理方法①(乾燥)を煎じて、だし汁や具材を入れ、薄口醤油・塩・味醂などで味を整え食事に取り入れることもおすすめしています。
  • 浴用
    浴用
    処理方法③(煎液)を自分の好みの濃さでお風呂に入れます。「よもぎ」は肌のかゆみに、「どくだみ」はあせもに、古くからよく使われてきた方法です。冬はみかんなどの柑橘類の皮などを使用すると温まるので、冷え対策には、よもぎ・みかんの皮・しょうがなどの処理方法③(煎液)を加えた「足湯」をおすすめしています。その他、昔の女性は婦人科系の調子が悪い時、よもぎを炊き出し桶に入れ蒸気を利用して座浴、今で言う「よもぎ蒸し」を多用していたようです。
  • 塗用
    塗用
    湿布やスプレーを作っておくと便利です。痛い・かゆい部分には、「よもぎ+びわの葉+またたび+おおばこ」の配合がおすすめです。湿布は、処理方法④(焼酎漬)をキッチンペーパーの全面に染み込ませ、16折にして袋に保管し、夏は冷やして冬は温めて使います。スプレーは、処理方法④(焼酎漬)の上澄みのキレイな部分をスプレーボトルに入れ、直接塗布して擦り込みます。その他、処理方法③(煎液)に精製水やグリセリンを加えて化粧水、蒸しタオルに染み込ませてホットパックに利用するなどの美容法もあります。また、蒸留した蒸留水や精油を化粧品などに用いることも増えています。
  • 洗用
    洗用
    痛い・かゆいなど不具合を感じる部分を処理方法③(煎液)や処理方法④(焼酎漬)を使って洗い清めます。喉にはうがい液として、鼻や耳には綿棒などで対応してください。塗用のおすすめ配合を利用すると手間が省けて便利です。蓄膿など化膿性のものには、「よもぎ+ゆきのした」がおすすめです。

薬草との付き合い方

薬草を多用する民間療法では分量・用途など、西洋医薬品や漢方薬と違い「処方箋」がないため、全てが大雑把で地域によっても扱い方が異なることも多々あります。また、効能・効果についても非常に緩慢であるといわざるを得ません。
しかし、これらはデメリットではく、古来より、自分の体の声を聞き、自然と共存しながら確立してきた、その土地土地に根づく民間療法の個性なのです。
本来であれば、その土地ごとに薬草に詳しい方がいたはずですが、残念なことに、それらを伝承する人が絶えつつあり、自力で探していくしかないのが現状です。そのため、薬草の正しい知識をもって使うことが重要であり、症状や病気によっては、医師・薬剤師・専門家の指導を受けて使用することをおすすめします。薬草を扱うにあたり、自己責任のもと、自分の目的に合わせて、安全性を確かめた上で、3ヶ月を目処に使用することを心がけてください。薬草と接することは自分自身と向き合うことでもあります。薬草を通して自分なりの体調管理法を見つけてください。

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