健康は健康な自然に宿る
太古より脈動する火の山
阿蘇の力沸き立つ大地と
美しい水源のもと
自然の生命力あふれる
野山の植物=山草を用いて
古来より伝わる知恵と
現代の技術を合わせ
健やかな心体を養い保ち
未来へつなぐお手伝いをしています
阿蘇薬草園は熊本県・南阿蘇村の下野という地域にあります。「下野の巻狩(大規模狩猟)」は日本最古といわれており、鳥獣類の害を防ぐため原野に火を放ち、飛び出してくる獲物を弓で射ったり、武士の尚武を養うための訓練の場とされていました。この地は古来より薬草が豊富だったようで、狩りを終えた夜、体を癒すため、昼に狩りの合間で採った薬草を炙り、谷川の水を沸かして飲んだと伝えられています。そんな薬草文化が根づく自然豊かなこの地に縁あって、今から約30年前、クワ2本・カマ2本・スコップ2本で出発しました。
薬草がありのままの姿で生存する自然薬草園では、開園当初から「農薬NO(使用しない)・化学肥料NO(使用しない)・草取NO(除草せず刈り倒し他の植物と共存)」という3NO主義自然農法を提唱・実践してきました。圃場はJAS認定農園で、収穫した薬草は、商品の原料や料理の材料に使用。園内見学や体験教室・薬草講座を開き、薬草について理解を深める学びの場として活用、園内の小高い山はパワースポットとして多くの方々が訪れる場所でした。
しかし、平成28年熊本地震で甚大な被害を受け、薬草の収穫・商品の製造は制限され、好評だった炭火焼食処や教室・講座は閉鎖を余儀なくされました。現在でも園内は土砂崩れのため立入りを規制し、家屋は取り壊しが決まっています。そして平成29年、新天地として阿蘇の原点ともいえる「阿蘇神社」が鎮座する地に移設する運びとなりました。現在、園内で被害を免れた圃場に薬草・薬木を移植する復旧作業を進めつつ、これまで培ってきた集大成をもとに、薬草の生産体制を見直し阿蘇中心に拡大化、生産から販売までを安心・安定して行える仕組みづくりを進めています。
この歴史ある新たな場所で、地元の方々と一緒に阿蘇地域ならではの様々な体験教室や、今まで力を注いできた民間薬草文化の普及活動を、積極的に行っていきたいと考えています。そして、これからも薬草を軸にした温故知新かつ時代に寄り添う商品開発やサービスを提供し、更なる発展を目指します。
民間薬草研究家・井澤嵯壽
薬草の研究・栽培・普及に人生を捧げ
薬草とともに生きてきた男
井澤 嵯壽いざわ さとし
熊本県出身 / 1943年生まれ
阿蘇薬草園株式会社 名誉会長
民間薬草研究家 / 薬草料理研究家
私は幼少の頃よりアレルギー体質で体が弱く、ひどい喘息と中耳炎で、倒れて動けなくなり、気を失うことが頻繁にありました。両親は野良仕事で忙しく、家事一切を行っていた祖母に預けられ、祖母が忙しい時は腰紐で大黒柱に繋がれるのが常でした。祖母のところにはいつも近所のおばあちゃん達がお茶と漬物を持ち寄って、「ごてーどん(旦那)の愚痴、漬物の漬け方、こうやって薬草で病気ば治したばい」などの情報交換をしていました。そんなわけで、漬物と薬草については自然と詳しくなり、いつも薬草で遊び、使い方を試していく中で知識が豊富になっていきました。
薬草への興味と関心は次第に広がり、高校生の頃より、熊本を中心に各地域へ足を運び、色々なお年寄りから、各家庭の薬草秘話(家伝・秘伝)を教わることができました。その中でも特に感銘を受けたのが、単品ではなく複数の薬草を組み合わせて、さらに効能・効果を引き出す方法です。教わった薬草の家伝・秘伝と、自身の幼少時代からの経験を含め、実践・検証を30年にわたり阿蘇薬草園で行っています。
※2019(令和元)年より旧名・井澤敏改め、井澤嵯壽。
主な役職
- 日本特産農産物協会認定2002年地域特産物マイスター
- 阿蘇地域有作くん推進組合 組合長
- 元熊本県地域振しマイスター(1998年~)
- 元熊本県経営構造対策推進協議会非常勤アドバイザー(2000年~)
- 元阿蘇地域文化施設連絡協議会副会長
- 元南阿蘇村観光協会理事(環境保全委員長)
- 元阿蘇地域農産加工組織連絡協議会監事
- 熊本県食と農と健康をつくる会会員
- 食と農の応援団(農文協)
- 熊本県有作くん推進協議会会長
- 熊本県グリーン農業推進協議会委員
- 熊本県グリーン農業推進計画策定委員
経歴
1962年 | 日本国有鉄道入社 |
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1982年 |
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1985年・1986年 | とうもろこしを主材料とした滋養保健飲料 2件の特許取得 |
1989年~1998年 | 商品開発コンクール 金賞受賞4回 |
1990年 | 南阿蘇村に薬草園を開設 原野の新3NO主義自然農法による薬草の栽培と民間薬草の普及活動、講演活動開始 |
1997年 | 『先人たちの知恵 薬草・薬木の家伝秘伝』出版 |
2000年 | 菊陽町老人クラブ連合会 薬草を使った健康づくり・いきがいづくり・食生活改善で医療費を下げる運動の指導開始 |
2002年 | 熊本県農業コンクール「環境保全型部門優良賞受賞」 |
2006年 |
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2007年 |
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2008年 |
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2009年 |
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2010年 | はーとふーど舎オリジナル健康茶販売開始 |
2012年 | (株)阿蘇ハーブファクトリー設立 代表取締役就任 |
2018年 | 阿蘇薬草園(株)設立 名誉会長就任 |
2019年 |
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薬草を使ったこだわりの商品
園内で収穫した薬草を中心に自社工場で加工し、職人技の直火焙煎(昭和57年製法特許取得)を用いて、お茶をはじめ色々な食品を、生産から袋詰めまで一貫した管理のもと製造しています。薬草料理研究家でもある井澤嵯壽が陣頭指揮をとり、日々たゆまぬ努力と情熱をもって研究し、新しい可能性を模索し続け、皆様の健康に役立てられる商品を生み出しています。阿蘇薬草園の商品は、阿蘇神社・門前町商店街の直営店、公式オンラインストア(https://asoyakusouen.shop-pro.jp/)でご購入いただけます。
薬草を軸にした取り組み
民間薬草文化の普及
人は古来より薬効のある植物を「薬草」と見なし、心身を癒すため毎日の暮らしに自然と取り入れ活用してきました。しかし、日本では戦後、急速な西洋医学の普及で東洋医学や民間療法は衰退、欧米文化の導入により食生活をはじめ様々な日本文化が失われ、日本人の生活スタイルは激変しました。そんな時代の流れとともに日本の民間薬草文化も姿を失いつつありましたが、昨今の増え続ける莫大な医療費や生活習慣病・薬害の増加など様々な健康問題により、東洋医学や民間療法が見直されはじめています。
阿蘇薬草園では「飲・食・浴・塗・洗」の伝統的な薬草の使い方を、四季折々の薬草を通じて学び体験する教室や講座を開き、日本の民間薬草文化を後世に残すべく普及活動に力を入れています。また、先人達の知恵と薬草の力強い生命力を利活用し、総合的統括医療(西洋医学+東洋医学+民間療法など)の実現と予防医療の充実を目指しています。

地域社会への貢献
熊本県を中心に各地域で生産者と提携し、薬草の採取や阿蘇とうきびの栽培など、農家の安定した収入の確保や、高齢者の生きがいづくりに貢献してきました。熊本県内で高齢者医療費が1番高かった菊陽町では、地元の老人クラブの方々に、薬草採取や阿蘇とうきびの栽培を行ってもらい、それらを買取、買取した原料で薬草茶をつくり、老人クラブ経由で販売し、菊陽町に普及させるといった取組を実施しました。その結果、高齢者医療費が大幅に下がり、この取組が素晴らしいと評価され、国からも賞をいただきました。そして、今も積極的に薬草を使った地域興しを実施しています。
その他、社会福祉施設と提携し、心身にハンディキャップを持った方々に薬草の栽培や収穫を行ってもらい、自然界を利用した社会復帰のあり方を推進しています。
