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  • 井澤敏の薬草小話

「干し椎茸」の干し方

阿蘇もいよいよ春本番、道の駅などで産直の『しいたけ』を見かけると、山で遊んだ子供の頃をよく思い出します。
私の子供時代は病弱で喘息と中耳炎に悩まされましたが、具合が良いときは学校カバンを玄関に投げやり、七つ道具(ナイフ・塩・マッチ・ゴム銃など)を携えて、井澤家の戸島山(現:熊本市東区戸島町)へ登ったものです。そして、木の子(椎茸)をはじめ、椎の実、山芋、小鳥などを祖母のお土産として持ち帰り、遊んでいたことで叱られないようにそっと手渡ししていました。山は私にとって懐かしい思い出が詰まった場であり、子供の頃は病気を忘れられる唯一の癒しの場でもありました。

山の中

前置きが長くなりましたが、このように昔からよく採っていた『しいたけ』の中でも、私が研究してきた「干し椎茸」について、干し方と食べ方の2回に分けてお話ししたいと思います。

現在、「干し椎茸」は機械乾燥が主流です。巷では「干し椎茸」はビタミンDが豊富だといわれていますが、私の研究では機械乾燥の場合、ビタミンDはごくわずかしか含まれていません。機械乾燥の「干し椎茸」(以下「乾燥椎茸」といいます)からビタミンDを増大させるためには、天日に干すこと、さらに、干す部位と時間がとても重要だということがわかりました。

しいたけの裏 ヒダ

まず、干す部位ですが、乾燥椎茸の傘の表面(茶褐色)を干しても、あまりビタミンDに変化はありません。必ず裏返して傘の裏面のヒダに天日が当たるように干します。このギザギザになっている細かいヒダには、エルゴステロールという成分が含まれており、紫外線を受けるとビタミンDに変わります。そのため、天日=太陽光を直接照射する必要があるのです。〔*1〕

しいたけ 天日干し

次に、干す時間ですが、長時間干せば良いというわけではないようです。長時間干してしまうと他のビタミン類〔*2〕が破壊される恐れがあるため、私はどの位干せばビタミンDが増えるか実験してみました。すると、わずか3.5分でビタミンDが約12.5倍も増える(乾燥椎茸100g当たりの含有量16.8μgから209.2μgに増加する)ことが判明しました。
これらの実験結果から、市販の乾燥椎茸を料理に使う場合は事前に、裏返しにして天日に3.5~10分ほど干すことをお奨めしています。

今回は「干し椎茸」の干し方についてお話ししました。
ちょっとしたひと手間で、ビタミンDが効率良く摂れるので、ぜひお試しください。
次回は「干し椎茸」の食べ方についてお話しします。ご高覧いただければ幸いです。

〔脚注〕
*1
エルゴステロールはキノコ・カビ・酵母など真菌類の細胞膜を構成する物質で、日焼けを引き起こす紫外線B波(UV-B 280~315nm )を受けて、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)に変換される
*2
乾燥椎茸のビタミン類含有量(可食部100g当たり)
ビタミンD2:16.8μg、ビタミンB1:0.5mg、ビタミンB2:1.4mg、ビタミンB6:0.45mg

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